2018年7月25日水曜日

【アニメ】涼宮ハルヒは私の知る限り最もリアルな現代の女性キャラである


『涼宮ハルヒの憂鬱』は私の一番好きなアニメです。

キャラが好きです。ストーリーと設定も好きです。

アニメを実際に見ていて惹かれるのは長門とキョンですが、やっぱり作品をこの作品たらしめているのはハルヒかなと思ってこんなタイトルにしてみました。

考察なんていくらでも書かれていますが、「ハルヒ」というキャラについて、今さらながら自分の思ったことを素直に書いてみたいと思います。

なぜハルヒは「憂鬱」か

容姿にも才能にも恵まれ、常識も持っている(古泉談)のになぜハルヒはいつもつまらなさそうにしているのか、「エキセントリック」なふりをするのか。

ハルヒ本人も言っていますが、やはり自分がちっぽけな存在だと気づいたからでしょう。

ハルヒは野球観戦に行って気づいたと言っていますが、なぜそうであると気づかなければならなかったのか、というと、ハルヒが現代(の日本)を生きる少女だからです。

原作の刊行、アニメ化と時間が経過していることや、ある程度普遍的な学園生活を描いていることからはっきりと舞台設定はわかりませんが、ただ一つ確かなのはこの物語がバブル崩壊後の物語であることだと思います。

人間にとってほしいものが手に入って、明日の生活も保障されているに等しい。

でも何となく虚しい。
もう、近代・現代的な社会構造の希望が無限のものではないことを知っている。

皆が科学を過信しているがゆえに超常現象は存在しないことになっている。

情報化社会の巨大なネットワークの中で自分の存在が記号になっていくのを感じる。

自分の不自由ない生活に満足している自分自身にイライラしてしまう。


たったこれだけのことですが、それをここまで真正面から言った作品は他に見たことがありません。


日々がつまらない、何か面白いことがないか探すキャラが出てくる話自体はよく見ます。

だけど、たいていすぐに面白いことに巻き込まれてそんなことを考えていたこと自体忘れてしまいます。

『ハルヒ』に関してはそれがありません。
ハルヒ本人にはSF的な出来事が知らされないからです。

SF要素に関して言えばそこが一番のミソだと思います。

何も知らないから主張し続ける。
話が進むにつれハルヒの性格や行動は丸くなっていきますが、その主張は一貫しています。

物語の世界だけでなく、現実の人間だって面白いことが起きてほしいと漠然と思っていたりします。

でも実際にはそうそう起こるものではありません。(少なくとも本人の目にはそう見えます)


ハルヒは、思春期にあって「世界が自分の思った通りに動くわけではない」、「小さい頃に思っていたほど生きているのは楽しいわけではない」と気づきつつ、どうしたら少しでも楽しめるかを模索する、現実と共に生きる少女なのだと思います。


キョンとの関係性

ハルヒが上で書いたとおりのキャラだとすれば、キョンはどういう存在なのか。

普通の人間のようで謎めいていて難しいのですが、ただ、ハルヒと二人で一人の人間みたいなものなのかと思ってしまうシーンがあるように思います。

まず、『涼宮ハルヒの憂鬱Ⅵ』。この回の後半、ハルヒとキョンの二人の世界って感じがして一番好きです。(さらにカラオケでGod knows...を歌うとその辺の映像がダイジェストでみられるの最高です。初めて見たときそういうシリアスなアニメなのかと思ってしまいました)

そもそもなんで閉鎖空間なんて作ったんだよ!!と最初は思いましたが、よく考えるとめちゃめちゃわかる気がします。

直接の原因はみくるへの嫉妬ですが、そうでなくてもハルヒは多分キョンと二人きりになりたいと思ってます。

そして、その感情は多分男の子が思う「二人きりになりたい」とは別物です。

夢と現実の境界が曖昧になるような、夢を見ていたわけでなくとも朝起きたときに「彼が今までここにいたような気がする」と思ってしまうような、そんなボーっとした、体中を流れる感情なんじゃないかと。


だから閉鎖空間でキョンと二人きりになったと考えると自然です。

ハルヒはSOS団なんてもうどうでもいいと言いますが、それまで積み上げてきたものを捨てても構わないというのは凄く女の子だなって思います。原作者が男性であることが信じられないくらい、刹那的な感情の変化がよく描かれているし、それがアニメになったとき鮮烈な印象になって残る。

この時のハルヒのセリフはほとんど告白みたいなものです。

しかし、それによって二人の温度差、すれ違いが浮き彫りになってしまいます。

この後、キョンは長いモノローグを経て自分は「ポニーテール萌え」なのだと言います。

これも最初見たとき意味がわからなかったのですが、実は昼間のハルヒのセリフに返事をしているだけなんですね。

キョンの言うポニーテールとはおそらく序盤の体育のシーンのことです。

さっき自分がハルヒを怒らせてしまった原因も本当はわかってるし、出会った時から気になってたんだよ、と暗に伝える、気の利いたセリフです。(本人は自覚してなさそうですが)

そしてハルヒへの返事でもあります。

まとまってないですがこんなシーンなんじゃないかと思います。



次に『笹の葉ラプソディ』で明かされるハルヒの過去。

これは設定上の問題です。

ハルヒの能力があるからキョンは過去に飛んだはずなのに、キョンがそこでハルヒの能力発動のきっかけを作る。

すべてのタイムリープものにいえることと言ってしまえばそれまでではありますが、鶏と卵との関係です。

ハルヒがいなくても未来人は存在すると聞いたことがあるような気もするし、本当に能力を持っているのはキョンの方っていう説もあります。

しかし、個人的にはそこから、ハルヒとキョンは別の人間ではあるけど限りなく一人の人間に近い形で存在しているのではないかと思いました。
(この発想は島本理生さんの小説『あられもない祈り』の、西加奈子さんによる解説文から得たものです。詳しくはそれを読むとわかります)


さらに、『涼宮ハルヒの消失』においてもそれを感じます。

長門はキョンに振り向いてもらえないし、古泉は、ハルヒが出会ったばかりのキョンに対してキラキラした目をしているのを「羨ましい」といって寂しそうにしている。

キョンにとっては『長門有希の暴走』とかじゃなくてあくまでも『涼宮ハルヒの消失』で合ってるんだなと。

出会いからやり直させられても変わらない二人ということです。



古泉との関係性

※この項目は2018年8月17日追記

キョンの視点だとハルヒの次に長門が重要って感じに描かれていますが、ハルヒから見たら古泉はキョンの次に重要なキャラなんじゃないかと思ったので書き加えておきます。


そもそも(こういう人物相関の)ラノベでここまで主人公以外の男性キャラが主張してくる話も珍しい気がします。

古泉一樹はなぜ男性キャラなのか。

ここで私が注目したのは、

・古泉はおそらくハルヒのことが好きである
・ハルヒはそれに気づいていない
・超能力者という立場の特殊さ

の3点です。

1点目は、消失世界の古泉が明言しています。

普通の世界の古泉も同じとは言い切れませんが、それにしては意味深なシーンが多いと感じるのも事実です。

特にエンドレスエイトⅣ(アニメ新シリーズ15話)。

エンドレスエイトは8回もあったので1回1回の各シーンへの考察ってあまり見たことがないのですが、私としては、この回だけ他と全く違う意図を感じました。

みくるが未来に帰れなくなったと気づいた夜、古泉の解説中に、ハルヒの映像が挟まれます。

ここで、ハルヒがノースリーブの男性に囁きかけているのと、ハルヒの白いワンピース姿が特に気になります。

まず、ノースリーブの男性。

後ろ姿ではありますが、髪の長さ的にどうしてもキョンには見えません。

自然に考えると古泉なんじゃないかと。

もしキョンだったとしても十分に意味深なカットですが。

次にハルヒのワンピース。


正面を向いて、ハッとしたような顔をしています。

私がこのシーンに注目したのにはきっかけがあって、ニコニコ動画のこの動画です。↓

http://www.nicovideo.jp/watch/sm8760978

投稿者の解説文を見て、正直一瞬「それって実際にあり得るんじゃない?」と思ってしまいました。

古泉は自制心が強そうなので実際に行動には行動には移さないだろうし、そんなことがあったらハルヒが混乱すると思いますが、「古泉が、自分がハルヒに告白したり、デートしたりする夢を見た(想像をした)」と考えれば自然です。


次に2点目&3点目。

長門とみくるがハルヒを観察・監視しているのに対し、古泉だけは違います。

神人の退治を通して、ハルヒの心を癒すという役割を持っています。

ここから、少女の心を癒せるのは男性だけであるということを示しているのではないかと思いました。

もちろん女性の超能力者もいるのですが、ハルヒのそばにいるのはあくまでも古泉であり、男性的存在なのです。
(ついでに、登場人物の中で、宇宙人が全員女性(?)、未来人がみくる(+原作の藤原(男性))のみなのに対して、超能力者は基本脇役ばかりですが男性の比率高めですね)

また、ハルヒが安心して古泉に頼るためには、古泉からの好意に気づいてはいけません。

谷口の話から考えると、ハルヒはそもそもどうでもいい相手に好意を向けられることにうんざりしています。

相手が古泉ならうんざりはしないでしょうが、かわりに、真剣さを悟ってしまって悩むはずです。


悪くいってしまえば、古泉は、「叶わない恋と知りながら自分のことを好きでいてくれて、何でも自分の思った通りにしてくれて、感謝を求めず、好意を押し付けてこない(自分を困らせるようなことをしない)」という、少女漫画にも出てこなさそうなレベルで究極的に都合のいい男なわけです。
(好意を押し付けない、というところが地味に最もハードル高いですね)

キョンとは全く逆の方向に(そして古泉本人にとってはあまり好ましくない方向に)、ハルヒにとっての理想の男性像として描かれているように思います。


 まとめ

ハルヒの、他のキャラにない特徴は現代人として、少女としてリアルな感覚を持っているところだと思っています。

もちろんラノベだしコメディだし、高校生のやることなんだけどどこかに平凡ではない緊張感が潜んでいる。

そういうところが好きだし面白いんじゃないかと思います。

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