2018年10月6日土曜日

昭和後期だからこその曲『思秋期』by岩崎宏美の歌詞の意味を考える


今まで何となくオタクっぽいものを中心に書いてたんですが、そこまで深入りしているジャンルが特にないことに気づいたので自由にジャンルを広げてみます。

昭和歌謡は実はかなり好きです。


思秋期は岩崎宏美さんの1977年の曲。何かもう歌詞が素敵すぎるでしょ、って思ってます。


歌詞はこちら→http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=37737



◇時代を感じさせる歌詞


この曲の歌詞は今の日本ではありえない、ただし当時は当たり前だった色々なことを前提にしています。


もちろん私のように昭和が終わってしばらくしてから生まれた人間には実感を持ってわかるわけではないのですが、一応こんな感じかと。


・最終学歴は高卒が一般的である

・今よりも「若い」と言われる時期が短い(その一方で一分一秒という時間に追われることはなくゆったりとしている)
・携帯電話が存在しない(前駆体があったとしても普及していない)
・同級生みんなの住所を名簿で配られて知っている


一つ目、二つ目は、大学生活がモラトリアムであるのに対して、高卒で就職(場合によっては結婚)するというのは自立の早さを意味しているということです。

十九歳にして「青春は過ぎた」と言い切るのは衝撃的でした。

それと同時に、そんな懐かしい思い出を、卒業から半年経ってから語っていますね。もちろん今でも時間が経ってから実感がわいてくることはよくありますが、無理やりジャンルに当てはめるならば「卒業ソング」であるものを秋を舞台にしたのは、この頃の時の流れのスピードがあってこそだと思います。



三つ目、四つ目は「絵葉書を書く」という動作に集約されます。

ずっと過去を回想していたのが、最後で現在の動作の描写に切り替わります。
今だとライングループを見ながら「こんな人いたなあ…」で終わってしまいそうです。


◇「私」を取り巻く三人の男性

さりげないようでいて、一つの歌の中に三人登場するというのはやっぱり多いです。


でも、一人しか出てこない代わりに軽そうな歌詞が綴られているよりも、逆に一途に生きているような、上品な感じがします。


1番と2番のAメロ計4回のうち、あとの3回で一人ずつ出てきますが、この順番には少しだけ意味があるのではないかと思います。



一人目の人は「あたたかい心」を持っているということなので、それなりに交流があり、上手くいっていたのだと思います。


しかし、別れの言葉を告げられている。


これは、その人のやさしさに頼りすぎてしまったとかそういう風に考えることもできますが、純粋に上京してしまったから別れなければならなくなったのかもしれません。


個人的には後者の解釈の方が好きです。どことなくノスタルジックなので。


これが「両想いだった」パターンです。


一番最初に、幸せだったのになあ…、と思い出したのかもしれません。



二人目の人は、お互いに意識していなかったけれど、そういう雰囲気になって気まずくなった…という感じがします。


ただ、「ごめん」とはっきり言われてしまっているので、どちらかというと自分から相手への片想いのように見えます。「そもそもうまくいくはずもなかった」パターンです。



三人目は相手から自分への片想い。


これが最後に来ているのは凄く効果的です。


自分を思ってくれている人がいたのに、今一人ぼっちでいる必要はなかったかもしれないのに、それを自分のその時の行動ひとつで断ち切ってしまった後悔みたいなものを感じます。



◇今の「私」はなぜ一人なのか


はっきりといつも一人でいるとかは書いてないですが、歌詞全体から孤独がひしひしと伝わってきます。


ここで考えられるのは、「はたから見たら一人ぼっちではない」状態です。

おそらく就職していて、結婚はさすがにまだしていないと思います。(本当に結婚してしまったらもっと考え方が変わってしまうので)

そして、興味のわかない人とのお見合いなんかを親にさせられているのかもしれません。

そうすると、「人にそれなりに会っているのに、誰にも心を許せず孤独を感じる」というのが自然な状況として浮かび上がってきます


「青春は過ぎた」といいつつまだ大人になりたくない心理をしっかりと表しています。



◇思秋期というタイトル


思春期と「~思う秋の日」を掛けているのはすぐわかります。


それと同時に、思春期と対になっているような、さびれた印象を受けます。


そもそも歌詞だって、メロディーの秋っぽい雰囲気を無視すれば最後の方を変えるだけで簡単に春の歌にできます。


そこを敢えて秋にすることで、寂しさと大人っぽさを演出しているのだと思います。


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